最近、「DAO(ダオ)」という言葉を耳にする機会が増えましたね。IT技術は日進月歩で成長しています。DAOやWeb3やNFTなど、近い将来に重要なキーワードになると考えられているので、時代において行かれないように基本的な情報は押さえておきましょう。
ただ、ネットで検索すると様々なページがヒットするものの、あまりにも専門用語が多すぎてチンプンカンプンという人も多いのではないでしょうか?
そんな超初心者の人に向けて、DAOの説明をしていきたいと思います。
僕は私立文系の大学出身のサイタマ DAO journeyです!
自分自身がITド素人だからこそ、ブロックチェーンなどの専門的な知識や用語を最小限に抑えて「DAO」について発信をしています。これからの世の中で重要なキーワードになるWeb3の世界への第一歩となれば何よりです!
私立文系の大学出身、プログラミングなどIT系の知識・経験はゼロ、20代後半まで年間読書量がゼロだった僕が説明するから安心してね!
今回は、『そもそもDAOってなに?』という疑問について、猿でも分かるように“専門用語なし”で解説します。(途中で[=スマートコントラクト]といった形で専門用語の紹介も入れます。)
この記事を読むことで、DAOとは何かをザックリと理解できるので、『これからDAOやWeb3について学びたい!』という人は最後までご覧ください!
DAOとは…
DAO(ダオ)を日本語に訳すると「分散型自立組織」となります。
・・・。難しそうな漢字が6文字も並んでいて、既に読む気が失せた人もいるかもしれませんね。でも、今の時点ではあまり深く考えないでください。まずは最後の単語が“組織”となっていることから、DAOとは新しい組織の形の名前だということを理解してもらえれば大丈夫です。
世の中にはいろんな組織があります。身近なものでは、株式会社やNPO法人、国や自治体、学校の部活動などでしょうか。そこに新たに加わるのが「DAO」ということです。
DAOを知るためには、まず『組織とは何か?』を理解する必要があります。辞書で検索したところ、このように紹介されていました。
組織(そしき)とは、特定の目的を達成するために、人々が共同で活動を行うための構造や体制を指す言葉である。組織は、その目的や規模、形態により多種多様である。企業、学校、政府機関、非営利団体などが典型的な組織であり、それぞれが特有の目的を持ち、その達成のために様々な活動を行っている。
Weblio辞書
(以下省略)
辞書にも書かれていることを要約すると、組織とはある目的に向かってみんなで一緒に活動するための体制のことです。実際の関わり方については組織や参加者などでも違いますが、基本的には共通の目的に向かって関係性を持ちながら動いています。
その為、「組織」というものを理解するためには、どんな人たちが、どのように、どんな目的で参加するかがポイントとなります。また、“活動資金”も重要な要素の一つです。活動資金をどのように集めて、どのように使用方法を決定するのか、ということも組織の目標を達成するために大切です。
DAOという新しい組織では、世界中の人が自由に参加できるのが特徴です。DAOは基本的にインターネット上で活動しており、身分証明書の提示なども必要がないため、国籍や過去の経歴などは関係なく参加することができます。参加目的は人それぞれで、コミュニティに参加したい人や単純に投資感覚で参加する人もいますが、一人ひとりが自主的に自己責任で参加しています。
そして、活動資金の使い方などの意思決定はDAOの参加メンバーの投票によって行われます。現在の多くの組織は偉い人の決定に従って運営されています。しかし、そもそも“偉い人”が存在しないDAOでは、参加メンバーの意見が直接反映されます。
また、もう一つ重要なポイントは、参加メンバーに対してきちんと報酬が支払われることです。これまでも、上の特徴を満たしたインターネットコミュニティなどはありましたが、あくまでも趣味の範疇だったり、ボランティアのようなものが多かったです。DAOでは仮想通貨などの報酬が発生するところが、趣味やボランティアとは違います。
このような組織が新しく登場したのは、もちろん世の中の価値観が変わってきたことも理由の一つですが、新しいテクノロジーの登場が大きいです。例えば、あらかじめ決めた約束を自動的に実行する技術[=スマートコントラクト]や、さまざまなデータを安全に記録・保存する技術[=ブロックチェーン]などです。
テレビドラマなどでも、大企業の偉い人たちが不正を働くようなシーンを見ることがあります。しかし、テクノロジーの力で不正を働けないDAOでは、『半●直樹』に出てくるような悪い大人と遭遇することはないので安心ですね。
DAOの特徴とメリット
では、そんな新しい組織であるDAOの特徴について、もう少し詳しく見ていきましょう!
誰でも参加できる
DAOは主にインターネット上が活動の場となっており、デジタル参加証[=ガバナンストークン]を手に入れれば誰でも参加できます。ある程度のネットリテラシーやPCの保有などのハードルはありますが、国籍や性別、経歴などといった壁が取り除かれるので、世界中から多様な人が参加することができます。
いろんな価値観や専門知識を持った人が同じDAOに参加することで、新しいアイデアや技術が生まれることが期待できます。組織は何らかの目的をもった集まりなので、さまざまな角度からアイデアが出るのは大切なことです。
昔から『三人寄れば文殊の知恵』なんて言ったりします。DAOでは三人どころか数百人、数千人、数万人という人の知恵を集めることもできるので、その分だけ強い組織づくりが期待できます。
ちなみに、DAOに参加するためのデジタル参加証を手に入れる方法はDAOによっても違うけど、専用の取引所で購入したり、プロジェクトに貢献したりすることで貰えます。
一人ひとりが考える組織
DAOでは、活動資金の使い方や新プロジェクトの立ち上げなどの意思決定をデジタル参加証を持ったメンバーによる直接投票で行います。
現在、特定の人物や一部のメンバーが決定権を持つトップダウン方式を採用している企業組織が多いですが、意思決定のスピードが速い反面、なかなか参加メンバーの意思が反映されません。その点、直接投票で意思決定をしていくDAOでは、みんなの意見をそのまま反映することができます。
みんなの考えが反映される公平な組織をつくることで、一人ひとりが主体性をもって参加できることが大きな特徴です。
昨今、グローバル化が進む中で『日本人は主体性がない人が多い!』なんて言われることが増えました。これまでの教育や働く環境によって自分で考えないで、ただ言われたことをこなすことに慣れてしまっている人が多いのが原因の一つとして考えられます。DAOの普及によって一人ひとりが考える機会が広がることで、主体性を持った人が増えるきっかけになるかもしれませんね。
“人の手”に頼らない安心感
企業や政府機関などを見てもわかる通り、人の手によって運営される組織では『自分が得をしたい…!』という欲望によって不正が起こることがあります。これまでも多くの人が解決に向けて動いたはずですが、一時的に改善されたとしても根本解決にはなっていません。
DAOではそもそも“人の手”に頼らない組織運営をすることで、不正が起きない組織をつくろうとしています。そして、人の手に頼らない組織(自立した組織)をつくる上で重要なのが新しい技術の登場です。
DAOを語る上で外せない重要な技術がこの二つです
政治や各種取引では、しばしば最初の約束事が守られないことがあります。例えば、政治家の公約を信じて投票したのに実現されない、というのは残念ながらよくある話です。しかし、DAOではテクノロジーの力を借りて『もし○○なら、××を行う。』といったルールを決めて自動的に実行します。そのため、事前に定めた約束事は必ず守られるのです。
ここで不安になるのがハッキングなどのリスクです。事前にきちんと約束後を決めたとしても、こっそり違うルールに書き換えられていたら意味がありません。しかし、その不安は2つ目の技術によって解消されます。DAOで使用するネットワークは透明性が高く、安全性も高いのでハッキングなどのリスクが限りなく低いのが特徴です。
このようなテクノロジーの力を借りることで、不正が起こりづらい組織を実現することができます。
きちんと報酬がある
DAOは趣味やボランティアのような組織とは違い、成果に対して報酬を受け取ることができます。
具体的な報酬の制度や内容はDAOによって異なりますが、基本的には現金ではなく、いわゆる仮想通貨で支払われます。そして、その多くの仮想通貨はその組織の活動が広がり、世の中からの評価が高まったときに価値が向上するものです。
自分の目的に向かって活動をすることで報酬が支払われ、その活動が認知・評価されることでその報酬の価値が上がるのでより一層力を入れて取り組むことができます。
〇〇との違い
DAOについて理解をより一層深めるために、既存の組織との違いを比較してみましょう。よく比較対象として引き合いに出されるのは「株式会社」ですが、その他に「国・自治体」や「協同組合」との違いも見てみましょう。
今回は、下記の6つの基準で比較していきます。
- 所有者と経営者が一致しているかどうか
- 意思決定の方法
- 情報の透明性
- 働く人の参加方法
- 報酬の有無と内容
- 活動資金の調達方法
株式会社との違い
DAOと株式会社は、デジタル参加証 or 株式を発行することで資金を集め、目的達成のために利益を追求しながら活動を維持・拡大するという構造が似ており、よく比較されています。しかし、根本的な考え方は全く異なっています。
DAOと株式会社の大きな違いは意思決定の方法です。株式会社で働く人は、実務をこなすために経営者に雇われている立場です。少し言い方は悪いですが、ある意味で会社の設備の一つのような立ち位置になります。そのため、原則としては意思決定に参加することはありません。
しかし、DAOではデジタル参加証の持ち主がDAOの所有者であり、経営者であり、働く人にもなります。そのため、経営者の意思決定に従うだけの従業員ではなく、自分で考えて行動する事業主の立場としても関わることができます。(もちろん、DAOとの関わり方は参加メンバーによっても異なります!)
DAOには、そもそも雇う・雇われるという概念自体がないことが、株式会社をはじめとした多くの従来組織との違いとなります。
国・自治体との違い
DAOと国や自治体は相反する組織といっても過言でありません。元々、DAOは政府や大手企業といった一部の強い立場の人たちが利益を独占したり、情報の透明性が低くかったりする組織に対抗する存在として生まれました。そのため、そのような根本的な考え方が全く異なった組織となっています。
そのような考え方が、仕組みとして表れているのが意思決定の方法です。
本来、どちらも具体的な方法は違うものの、参加メンバーの意見が反映させるように運営しているという点では共通しています。実際に国の運営では、国民の代表である国会議員が国民の意見を代弁したり、住民が直接意見を提出できる制度もあります。
では何故、『自分たちの意見が反映されている気がしないんだけど…?』と感じることがあるのでしょうか?
その原因の一つは“人の手”による組織運営だと思います。国や自治体の運営では、かなり大きなお金が動きます。また、とても大きな組織の運営に関わる立場になるので、それなりの権力を手にすることにもなります。その結果、自分自身の欲を満たすために不正を働く人が出るのです。
当然、住民サイドからしたら『ちゃんとやってくれよ!』と怒りが湧きますが、正直、そのような不正を働く人が一定数でてくるのは仕方ないようにも感じます。もちろん人間としては絶対に間違った行動ですが、生物の生存戦略としては必ずしも間違ってはいないからです。
人の手で運営をする限り、そのようなことは避けられないので、DAOではテクノロジーを最大限利用して“人の手”をなくす運営をしています。
協同組合との違い
個人的に、既存の組織の中で最もDAOに近いと感じているのが協同組合です。
協同組合とは、共通の目的を持った人同士が自発的に集まって、事業を通してそれを実現する組織です。参加メンバーが出資金を払って活動資金をつくり、メンバー自身が働く人の立場でもありながら、組織運営にも意見を出します。厳密には一部のメンバーが運営側になるので国・自治体の仕組みに近いですが、共通の目的に向かって自主的に参加しているため、より民主的な組織となります。
当然、細かな違いなどはたくさんありますが、参加メンバーの意見を反映させながら意思決定する方針や適切に利益を分配する考え方など、DAOと共通するところも多いように感じます。
一番の違いとして感じるのは、DAOの方がオープンで、協同組合の方がクローズドな印象があるところでしょうか。協同組合の代表例にはJA(農業協同組合)がありますが、基本的には農業を営む方や地域の方のみが参加できます。どちらが良いという話ではないですが、テクノロジーの部分も含めて、協同組合の方が昔ながらな“人”を重んじた運営をしているように感じます。
DAOのリスク・デメリット
当然ですが、何事においても良い側面と悪い側面があります。ここまでDAOの良い側面の話をしてきましたが、ここでは悪い側面として、DAOのリスクやデメリットをお伝えします。
法律などの未整備
DAOの一番のリスクは、やはり「新しいもの」だということです。新しいものはたくさんの可能性を秘めていますが、その分だけ多くのリスクがあります。その代表的なものが法整備の問題でしょう。
DAOは今後の働き方に大きな影響をあたえることが期待されています。これまでのように企業に雇われるのではなく、自主的に興味のあるDAOプロジェクトに参加をして、生計を立てる人が出てくるかもしれません。例えば、そのような働き方がスタンダードになったときに、誰に・どのくらい・どのように税金かければ良いのかなど、まだまだ法整備が追い付いていないところが多いです。
今後、DAOに関する法律が整備されてきたとき、それまでは問題なかったことが違法になる可能性もあります。それによって、順調に進んでいたDAOプロジェクトがガタガタと崩れる可能性もあります。法整備が追い付いていないということは、何かあった際に国に守ってもらえないだけではなく、国の一存でDAOがダメになるリスクもあるのです。
ハッキングなどの可能性
DAOはテクノロジーの力を最大限に活かして運営される組織です。安全性の高い技術を使っていることはお伝えした通りですが、やはりハッキングなどのリスクはあります。
実際に、2016年には「The DAO事件」と呼ばれるハッキング事件が起きて、当時の価格で約5000万ドルの仮想通貨が不正に流出しました。この事件が与えた衝撃は大きく、セキュリティ対策やDAO運営についての議論が活発になりました。
この事件以降、セキュリティはより安全性の高いものに進化しています。しかし、これはテクノロジーの頼らない組織でも同じですが『何があっても大丈夫!』ということはありえません。
一人ひとりがさまざまなリスクにアンテナを立てて、勉強をして、有事に備えるようにしましょう。
意思決定のスピードの限界
DAOの魅力の一つに、直接投票によって参加メンバーの意見を反映して意思決定をすることがありますが、この方法はトップダウン方式と比べると意思決定のスピードが遅くなります。組織運営をする中では、急ぎで決断をしなければいけない場面もあります。そんなときに、鶴の一声で一斉に動き出せないのはデメリットの一つとして考えられます。
そもそも完全なDAOをつくるのが難しい
これは根本的な問題ですが、そもそも完璧なDAOをつくること自体がかなり難しいことです。何かの目的をもって活動を始めるときには、誰かが音頭を取る必要があります。つまり、DAOをつくろうとする時点で、どうしてもリーダーや経営陣のような存在が必要となるのです。
現在、完全なDAOと言われているものに『Maker DAO』がありますが、このDAOも最初は一部のメンバーで経営をしていました。組織が成長するにつれて徐々に経営陣の影響力を弱めることで、DAO化することに成功したのです。
現状、いきなり完全なDAOをつくることは難しいと言われており、実際に「〇〇 DAO」といった組織のほとんどが“DAOっぽい組織”です。今後、さまざまなDAOの成功例が増えていき、DAOの考え方が普及することで、DAOづくりの方法が確立されていくこと期待したいですね。
DAOがある未来とは
最後にDAOが普及した先にある未来について考えてみたいと思います。
皆さんは「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」という言葉を聞いたことがありますか?(これはWeb3の専門用語ではありません!💦)
「ダイバーシティ=多様性」「エクイティ=公平性」「インクルージョン=包摂性」を組み合わせた言葉で、いろんな特徴を持った人が働く組織の中で、それぞれの人を尊重して、公平な機会を与えることで、一人ひとりが力を発揮できる環境を実現するという考え方のことです。
昨今、人種差別の問題が顕在化されたり、女性の社会進出が進んだりしていることから分かるように、世界的にDE&Iの波が広がっています。DAOをはじめとしたWeb3関係のものは、そんなDE&Iという大きな概念が広がる大きな波の一部のように感じています。
少々きれいごとのような話ですが、もしかしたらDAOが普及した先には、世界中の人たちが支えあっている未来が待っているかもしれませんね。
まとめ
DAOは、株式会社や国・自治体などといったこれまでの組織とは違い、新しいテクノロジー力を借りて参加メンバーが直接意思決定に参加できる組織のことです。まだまだ新しい組織形態なので、いろんなリスクがあるのも事実ですが、それ以上に多くの可能性を秘めているものだと思います。
DAOに参加して、主体性をもって活動することで、充実感のあるワクワクできる毎日が待っているかもしれません。そして、みんながDAOのことを知り、参加することでDAOが広がっていき、今よりも生き生きとした世の中になるかもしれません!